壁内結露(冬型・夏型)ドイツに学ぶ
「非透湿の外皮」と「透湿外皮」
木造住宅の寿命と人体に影響を及ぼす(壁内結露)について。
今回は少しマニアックなお話しです・・・
壁内結露計算をしていて感じる魔法のような建材があります。
「防湿気密シート」!
これを使えば内装仕上げ材や断熱材、外部耐力面材に何を使用しても大体OK!透湿・非透湿はほぼ関係無し。
すばらしい!
計算上は・・・
壁内結露防止と気密性(C値)向上の為、だいたい(この)シートを施工しますし推奨されています。
しっかり防湿気密シートを施工すれば、壁内に水蒸気は入らない→だから結露しません。という考え。
ほんとにそう言い切れるのか?
夏型(逆転)結露にも有効?
シートの耐久性は何年?
長寿命の住宅になる?
日本では普通だと思うことが欧米では違うことは多々あります。
環境・省エネ大国である「ドイツ」では
気密シートの施工は日本より、かなり前の1961年から施工されています。
そして1977年
気密シートの施工が法律で禁止!
研究の結果、非透湿外皮では結露を防ぐことはできない、として透湿外皮が義務化されています。
ドイツでは外皮に防湿気密シートや気密テープを使用した場合は建築基準法違反になってしまいます。
日本で主流になっている断熱材(グラスウール)これもドイツでは発がん性の理由から1995年に製造と販売は禁止になっています。
住宅に施工してしまえば住まい手は、ほぼ吸うことのないグラスウールですが、施工者や生産者、解体時などの被害も考慮したドイツ、さすが環境大国ですね。
アスベストは日本でも2005年に禁止になっていますが、ドイツでは20年以上前の1980年代から禁止になっています。
話しが脱線してしまいましたが、非透湿外皮と透湿外皮について。
防湿気密シートは冬型結露に対しては有効だと考えます。
※(外部耐力面材に透湿性がある場合)は有効
夏型(逆転)結露は?
夏に壁内で発生した結露はシートによって逃げ場を失います。
部屋の壁側内部(内側)にできた結露は外周部の通気層(外側)から逃がすのはとても困難。断熱材に透湿性が無ければなおさらです。
一般的には外気35℃を超え室内温度が27℃程度の場合は一時的に内部結露が発生するがすぐ乾く?危険な冬型結露の対策が重要?と言われています。
夏型結露に対して対策されている工務店も多数ありますが、ほとんどはまったくのノーマーク状態!が現状。
ここ浜松市は温暖な地域ですが、地球温暖化や、記憶に新しい2020年、浜松市で最高気温「41.1℃」を記録したこと、アメダス温度計と実際の住宅地(外壁周辺)の気温にも温度差は生じると思います。
各部屋の冷房設定温度にも当然個人差があり、各所の壁面、特に冷房の風が直接当たるような(外周に面した壁)などあれば要注意です。
もはや夏型(逆転)結露対策は今後必須であると考えます。
(ひのきの家)では透湿外皮を推奨します。
壁内への水蒸気の侵入を防止ししつつ、気密(C値)を高め、結露が発生してしまった場合には排出できるルートを確保。
水蒸気の排出ルートを確保しても、それぞれの素材自体に透湿性がなければ無意味になってしまいます。
透湿性の無い素材があれば、その素材がすべての水分を蓄えてしまいます。
外皮は透湿性のある素材で構成する。
やはりコレが一番だと思います!
室内側の気密シートに可変透湿気密シートを使用し、夏型結露を解消します。
冬場の(壁内と居室)吸放出、調湿機能が半減してしまいますので、個人的には上図の③はいらないと思うのですが・・・
気密を優先すれば素材の持ち味が・・・
快適性を優先すれば構造躯体が・・・
すべてにおいてオールマイティーな住宅は難しいですね。
すでにドイツでは(省エネ・長寿命・環境に負荷の少ない)環境建築が実現しています。
日々勉強です。